治療内容MEDICAL
網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症とは
網膜に分布する血管に網膜静脈があります。網膜静脈に血栓ができると血管が閉塞して血流が悪くなり、血液や水分が血管の外にあふれ出して、眼底出血や網膜の中心にある黄斑部のむくみ(浮腫)が生じます。静脈の根元が閉塞する「網膜中心静脈閉塞症」と、静脈の枝分かれした一部分が閉塞する「網膜静脈分枝閉塞症」があります。視力低下や、視野欠損、ものが歪んで見えるなどの症状が現れます。
原因
多くの場合、脳卒中と同じで高血圧・動脈硬化が原因です。糖尿病などもリスクを高める一因です。中高年に生じることが多いですが、20代30代の人に発症することもまれにあります。若年者の場合は高血圧の合併がなく、血管の炎症が原因であることが多いです。
治療
閉塞が起きている部位や閉塞の程度、進行度によってそれぞれ治療方法が異なりますが、主に3種類の治療法があります。
抗VEGF硝子体内注射
網膜では血管の閉塞により新生血管という異常で脆弱な血管を作ろうとするため、血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)が産生されます。ただVEGFは血管から血液が漏れやすくする作用もあるため、黄斑浮腫の原因にもなります。抗VEGF薬の眼内注射を行いVEGFの働きを抑えることで、黄斑浮腫を改善させます。即効性もあり一番多く行われている治療法です。
ステロイド局所注射
ステロイドは炎症を抑える働きがあり、黄斑浮腫の改善に関与します。
ただし眼圧上昇や白内障を生じるリスクがあるため、投与前に目の状態を把握しておく必要があります。
レーザー治療(網膜光凝固)
網膜上の酸素や栄養の不足した部分をレーザー光線で焼き固めて、新生血管が生じるのを予防したり、すでに生じている新生血管を退縮させたりする目的で行います。
また、眼科治療と同時に、高血圧や脂質異常症、動脈硬化といった内科的な基礎疾患の治療を行うことも重要です。