治療内容MEDICAL

糖尿病性網膜症

糖尿病網膜症とは

糖尿病網膜症は、糖尿病腎症・神経障害とともに糖尿病の3大合併症のひとつで、我が国では成人の失明原因の上位に位置します。網膜は目の中に入ってきた光を刺激として受け取り、カメラでたとえるとフィルムの役割を果たし、物を見るために重要な部分です。

糖尿病網膜症は糖尿病によって網膜の血管が障害される病気です。視力低下などの自覚症状がないまま進行して、症状が出現したときにはすでに重症になっている場合が少なくありません。血糖コントロールが不十分だと5~10年で網膜症が発症します。まだ見えるから大丈夫という自己判断は危険です。糖尿病と診断されたら直ちに眼科を受診して、自覚症状がなくても定期的な眼底検査を受けることが大切です。

正常な眼

正常な眼

糖尿病網膜症の症状

糖尿病網膜症の症状

糖尿病網膜症の病期と治療

糖尿病網膜症は、進行の程度により「単純」「増殖前」「増殖」の三段階の病期に分けられ、それぞれの時期で治療が変わります。

単純網膜症

初期の糖尿病網膜症です。高血糖によって、網膜に張りめぐらされた毛細血管が障害され、血管から血液が漏れて出血したり(点状・斑状出血)、蛋白質や脂肪が血管から漏れ出て網膜に沈着(硬性白斑)したりします。これらは血糖値のコントロールが良くなれば改善することもあります。この時期には自覚症状はほとんどありません。治療は必要ありませんが、数ヶ月毎の定期的な診察が必要です。

増殖前網膜症

網膜症がさらに進行すると、毛細血管がつまって、網膜の神経細胞に酸素や栄養が行かなくなり、神経のむくみ(軟性白斑)が生じてきます。視力が低下しないことも多く、自覚症状がない場合もあります。多くの場合、レーザー治療(網膜光凝固術)を行う必要があります。

増殖網膜症

進行した糖尿病網膜症で重症な段階です。新生血管が網膜に発生し、目の中に大きな出血(硝子体出血)が起こってきます。さらに進行すると、増殖膜といわれる線維性の膜が出現し、網膜を引っ張って網膜剥離を起こすことがあります。硝子体出血や網膜剥離が起こると、急に視力低下などの自覚症状が出現してきます。この段階の治療には、多くの場合硝子体手術が必要となります。